おしりかじり虫とにぎやかいろのチビ(オーストリアの絵本)
先日、Twitterと連携している質問箱でこんな質問をいただきました。
実は知り合いからのネタ質問であったことが後に判明したのですが、(質問じゃんじゃかお待ちしております)とても懐かしいですね。Youtubeにあったので彼女と一緒に聴いてみました。
最初聴いてみたときはすごい変な曲!って思ったけどだんだん聴いているうちにいつのまにかOhrwurm(耳鳴り)が止まらなくなってました
オーストリア人もハマれる曲のようでした(笑)
オーストリアも本格的に夏に入り、おしりかじり虫ではない方の虫がよく部屋に入って来るようになりました。自宅のアパートがカトリック系なので庭にちょっとした噴水があり虫にとって絶好の水場なので夜に明かりを点けて窓を開けていようものならわんさか入ってきます。部屋にはエアコンもなく熱帯夜になることも多いのでこの夏をどう生き抜こうか思案中です。
閑話休題。
みなさんはタイトルにある絵本「にぎやか色のちび」をご存知でしょうか?たぶん世界の絵本マニアでもないかぎりは知らないのではないかと思います。この本はオーストリアの作家ミラ・ローベによって書かれたオーストリアの子ども向け絵本 “Das kleine ich bin ich"の和訳になります。(Amazonのリンク)
オーストリアでは長年愛されてきている絵本なので知っている人も多いです。
あらすじを一言で表すなら小さな生き物の自分探しの旅、でしょうか。もう少し詳しく説明すると、
この表紙に描かれている名前もない小さな生き物はある日、カエルに何者かと問われ、自分が何者か答えることができませんでした。そこで、自分が何者か答えてくれる者が絶対にいるはずだと思ったこの小さな生き物は旅に出て、行く先々で様々な動物に自分は何者かと問いかけます。馬や牛、魚やオウム、犬などさまざまな動物に問いかけるもこの小さな生き物は自分と同じ動物を見つけることができません。(この小さな生き物は泳げたり、飛べたり、実は何かと多才です)
存在を否定されるかのように、また自分が何者かわからずしょぼくれている小さな生き物ですがある瞬間1つの答えにたどり着きます。
自分は他の何者でもない、自分は自分、自分自身なんだ、と
日本語で書くと哲学的な匂いがしますが、オリジナルのドイツ語でもこの答えにたどり着いたあとはこの小さな生き物を指す三人称がein bundes TierからDas kleine ich bin ichになります。つまり、最後まで固有の名前はありません。
自分は他の何者でもない自分であることに気づいてからは当初よそよそしかった他の動物たちも笑顔でこの小さな生き物に接してくれます。最初に問いかけたカエルも“Du bist du" (あなたはあなた)とこの小さな生き物が自分自身を見つけたことに喜んでくれます。
この絵本が教えてくれることは、他者と違っていても、なりきることはできなくても、自分という存在は確かに存在し、それはいずれの他者でもなく、かつ自分自身で見つけることができる、ということだと思います。子どもの個性を育む情操教育にはもちろん、大人が読んでも楽しめる絵本ですごくおすすめしたいです。SNSが発達して簡単に他者と比較できてしまう世の中、こういう原点に帰って大事なことを教えてくれる絵本がもっと広まって欲しいと思います。
以下、この絵本を読んで育ったオーストリア人の意見
この絵本は子どもにとってすごく良い本だと思います。この絵本は子どもたちに、他と違っていることはまったく問題ない、そして自分自身を受け入れることはとても大切なことなんだと教えてくれます。私は小さい時にお母さんが何度もこの絵本を読み聞かせてくれたことを覚えています。(実は半分くらい暗唱もできます)
最初から最後までユニークなこの小さな生き物ですが、絵本を通して見ると絶妙に可愛いです。感情によって表情も微妙に異なるところがこの小さな生き物への感情移入をさせやすくしています。
日本語訳の方はまだ読んだことがありませんが、ドイツ語も平坦なので初級者なら簡単に読むことができると思います。(自分もA2時代、よく読んでいました。)
日本語訳の方は絶版になっておりプレミアが付いているのかAmazonで一万円もするようですが、もし図書館などで日本語訳を見つけたら手に取ってみようかと思います。(あるいは、もし日本語訳を持っている方がいたら感想を教えてください。)
ここまで読んで下さり、ありがとうございました。
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